“長生きする人”が心がけている「減塩」の仕方…百害あって一利なしの「食塩」の常識

ソース: 現代ビジネス / 画像: Getty Images、現代ビジネス /著者: 川口 美喜子

長生きするために「しないこと」「減らすこと」

健康で長生きするためには、何をどう食べたらよいのか。

いろいろな視点から、たくさんの情報が飛び交っています。今回は「減らすべきもの」をお話ししたいと思います。

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一般的に人は「食べると体にいいもの」の情報には敏感で、あれがいいと聞けばスーパーに駆け込み、せっせと買って食べますが、「食べると体に悪いもの」を控えることには消極的です。

しかし、体に悪いものをなるべく入れないように気をつける。これもとても大切で、一番最初に取り組めることでもあります。私は、長く病気の人の栄養ケアに携わってきた経験から、50代からは、「3つの大幅削減」を呼びかけています。

その3つとは、「塩・砂糖・アルコール」。

これらをとりすぎないことが、中高年の生活習慣病予防の鉄則です。

食塩のとりすぎは百害あって一利なし

今回は減塩について詳しくお伝えします。

食塩のとりすぎが、さまざまな生活習慣病と関係することはよく知られています。

食塩に含まれるナトリウムは体内の水分バランスや体液の浸透圧を調節してくれます。ところが、血液中のナトリウム濃度が高くなると、浸透圧を保つために血液量が増え、血管の壁にかかる負担は大きくなり、血圧が上がります。

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高血圧になると血管や心臓に負担がかかり、糖尿病や肥満とともに脳卒中や心筋梗塞、心不全、動脈瘤など循環器系の病気のリスクを非常に高めます。

そして余分な塩分を排出するため、腎臓の負担も増えます。ナトリウムと一緒にカルシウムも排出されてしまうので、骨粗しょう症をまねく危険もあります。最近は肥満になりやすくなることもわかっています。さらに、高い塩分濃度により胃の粘膜がダメージを受けて、胃がんのリスクが高まることはほぼ確実とされています。

しかし、厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」によると、日本人の食塩摂取量の平均値は1日あたり男性11g、女性9・3g。以前と比べて減少してはいるものの、世界保健機関(WHO)が成人の目標量としている1日5g未満(食塩相当量)を大きく上回ります。

そこで成人の目標量(食塩相当量)は「男性・1日7・5g未満、女性・1日6・5g未満」(「厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)」とされているので、これを超えないように減塩しましょう。

「薄味にするのは無理」と言う人がいますが、やってみると慣れるものなので、まずは心がけるかどうか、です。そして新たなおいしいを発見することもあります。

減塩を成功させる3つのポイント

病院で提供する食事は塩分が基準値内になっていて、入院してすぐは「味がしない」などと訴える人がいます。しかし味は変えず、食後に必ずお話に行くようにしていたら「合わせてくれたんだね。おいしくなった」などと言う人が案外います。

病院という環境と、薄味に慣れたのだと思います。野菜と肉や魚介の蒸し煮や、ポタージュなどを召し上がり、「素材の味がおいしいと気づけるようになった」などと言ってくださる患者さんが多かったです。

家庭でも、「できない」と思い込まず、味つけは控えめに、食材ごとの独特の味をよく味わってください。減塩のポイントは3つです。

(1) 1品だけはしっかり味つけをする「1点突破」
(2) 調味料は「かける」ではなく「つける」
(3) 塩蔵品は食べすぎない

ほか、香りやスパイスで味を立たせるなどの工夫で、減塩に取り組むといいでしょう。