超加工食品と心臓病や深刻な脳疾患との関連が明らかに
Source: Women’s Health / By Korin Miller
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完全に避けるのは難しいが、消費量を減らすためにできることはある。
超加工食品に関する2つの新たな研究は、超加工食品が心臓病やパーキンソン病を発症するリスクを高めることを示唆している。
超加工食品はアメリカの食品供給量の約70%を占めるため、完全に排除するのは難しい。
食べすぎると、炎症、酸化ストレス、インスリン抵抗性を増加させることで、心臓と脳の健康に影響を与える可能性がある。
最近健康ニュースを追いかけていない人のために、簡単に結論を言うと、「超加工食品は健康に良くない」となるだろう。実際、複数の研究では、これらの食品が糖尿病やがんリスクを含む数多くの健康問題と関連していることが指摘されている。多くの超加工食品を含んだ食生活を送ると老化が早まる可能性もある。しかし、アメリカで消費される食品の70%をこれらの製品が占めているので、完全に食卓から排除するのは難しい。
それでも、一歩引いて日々の食生活を振り返ることは決して悪い考えではない。特に、超加工食品が私たちにどのような影響を与えるかはまだ完全には解明されていない段階だから。最近の2つの研究では、超加工食品の摂取と心臓病およびパーキンソン病の発症リスクの上昇との関連性が指摘された。これらの疾患が人生を変えるほどの深刻な影響を与える可能性があることを踏まえると、懸念を抱くのは当然だ。
ここでは栄養士と医師から、この研究について解説してもらう。
心臓病の研究は、5月に開催されたアメリカ心臓病学会の年次総会で発表された。この研究では、41件の研究から得られた8,286,940人の成人データを分析。超加工食品と健康問題との関連性を調べた。研究者たちは、超加工食品と高血圧、心血管疾患(心臓発作など)、がん、消化器疾患、そしてあらゆる原因による死亡との間に関連性があることを発見した。研究結果によると、超加工食品の摂取量が1日あたり100グラム(3.5オンス)増えるごとに、高血圧のリスクが14.5%上昇し、心血管疾患の発症リスクが5.9%増加し、がんのリスクが1.2%上昇し、消化器疾患のリスクが19.5%上昇し、あらゆる原因による死亡リスクが2.6%上昇することが示された。
また、超加工食品の摂取と肥満、糖尿病、うつ病や不安のリスク増加との間にも関連性があった。
「超加工食品の摂取量を少しでも減らすと、目に見える健康効果が得られる可能性がある」と、この研究の共同著者である中国広州市、中山大学孫逸仙記念医院の心臓専門医、シャオ・リウ医師は説明している。
脳の変性に関する研究では何が分かったのか?
この研究は『Neurology』誌に発表され、研究開始時にパーキンソン病を患っていなかった平均年齢48歳の約4万3,000人のデータが分析された。
参加者は26年間追跡され、その間、定期的な医療検査を受け、食事日記を記入し、健康アンケートに回答した。参加者は1日あたりの超加工食品の摂取量に基づいて、5つのグループに分類された。その結果、1日あたり11回以上超加工食品を摂取した人は、1日あたり3回未満の人と比べて、パーキンソン病の早期症状が3つ以上現れるリスクが2.5倍高いことが判明した(これらの早期症状には、レム睡眠行動障害、便秘、抑うつ症状、身体の痛み、色覚障害、日中の過度の眠気、嗅覚の低下などが含まれる)。
研究者が「1食分」としてカウントした量は、実はかなり積み重なる点に注意が必要だ。例えば、ケチャップ大さじ1杯が1食分であり、ポテトチップス28グラムも1食分に相当する。
この研究では、超加工食品がパーキンソン病を引き起こすことは確認されなかったが、研究者はこれらの早期症状がパーキンソン病の診断前に現れる傾向がある点を指摘している。
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なぜ超加工食品は心臓と脳に影響を与える可能性があるか?
超加工食品と心臓や脳の健康問題との関連を示すこのデータには、いくつかの生物学的な要因が関与している可能性がある。
「超加工食品は、炎症の促進、酸化ストレスの増加、インスリン抵抗性の増加など、複数のメカニズムを通じて新血管系の健康に影響を与えると考えられています」と、カリフォルニア州ラグナヒルズのメモリアルケア・サドルバック医療センターで構造的心疾患プログラムの医療ディレクターを務めるチェン・ハン・チェン医師は説明する。これにより、血管に損傷を与え、動脈にプラークが蓄積し、心臓発作や脳卒中のリスクが高まる可能性があるというのだ。
しかし、カリフォルニア州ファウンテンバレーのメモリアルケア・オレンジコースト医療センターで神経科医兼医療ディレクターを務めるダニエル・トゥオン医師によると、健康リスクにもかかわらず、超加工食品はなかなか我慢できないものだという。これらの食品は「ニコチンやアルコールのような依存性物質と同様に、脳の報酬系を急速に刺激します」と同医師は説明する。その結果、これらの食品を多く摂取するようになってしまい、健康問題のリスクを高める可能性があるとういことだ。
超加工食品は他にどのように健康に害を及ぼすのか?
『The Little Book of Game-Changers: 50 Healthy Habits For Managing Stress & Anxiety』の著者であるジェシカ・コーディング氏(MS、管理栄養士)は、超加工食品の大きな問題の一つは、健康的な選択肢を押し出す傾向があることだと指摘する。「栄養価が低くカロリーが高い超加工食品を多く摂取すると、健康問題を引き起こすリスクが高まる」とコーディング氏は話す。
さらに、これらの食品は、がん、消化器疾患、うつ病、不安障害、糖尿病のリスクを高めると、カリフォルニア州サンフランシスコ在住の栄養士、ソニア・アンジェローネ氏は言う。「これらの食品と健康状態の悪化には用量反応関係(編集部注:物質の用量や濃度や作用強度と、生物(人体)の反応との間に見られる関係のこと)がある。つまり、超加工食品を多く摂取するほど、健康への悪影響のリスクが高まるということだ」と同氏は言う。
しかし、良いニュースもある。「これらの食品を少しでも減らし、加工度の低い自然食品に置き換えるだけで、健康状態が改善される可能性がある」とアンジェローネ氏は言う。
だからこそ、食事の計画を立てる際には自然食品にフォーカスすることが非常に重要だと、栄養コンサルタントで『The Keri Report』のホストを務めるケリ・ガンズ氏(登録栄養士、認定栄養士)は指摘する。「食事から何を排除するかにこだわるのではなく、全粒穀物、野菜、果物、ナッツ、種子、豆類などの植物性食品をもっと取り入れることを考えるべきだ」と同氏は強調している。
コーディング氏は、食事に超加工食品が含まれていても、完全に避けることはほぼ不可能であるため、パニックになる必要はないと述べる。しかし、食事の大部分を自然食品にするように意識することで、健康に大きな違いが生じる可能性がある。「できる限りのことをすれば大丈夫」とのことだ。